偕楽園好文亭から望む梅の庭園

水戸藩侍医・井上玄桐が書き遺した徳川光圀公の記録

井上玄桐筆記 現代語訳

三百年の時を超え、
真の黄門様がよみがえる。

2028 徳川光圀公
生誕四百年
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書籍について

テレビドラマの「黄門様」では決して描かれない、
生身の徳川光圀がここにいる。

『井上玄桐筆記』は、水戸藩二代藩主・徳川光圀公の側近医師であった井上玄桐(いのうえ げんとう)が、公の没後に書き遺した貴重な言行録です。

元禄13年(1700年)、光圀公の逝去を機に京へ戻った玄桐は、水戸の儒学者・安積澹泊(あさか たんぱく)に宛てて、常に御側に仕えた者にしか知り得ないエピソードの数々を書き送りました。

本書は、その原文を郷土史家・豊田洋一が読み解き、現代語に翻刻したものです。幼少期の破天荒な逸話から、苦悩に満ちた為政者としての決断まで——三百年を経てなお色褪せない「一人の男の覚悟」の物語を、ぜひお手に取りください。

原著成立 元禄十四年 (1701年)
著者 井上玄桐 水戸藩侍医・儒者
現代語訳 豊田洋一 郷土史家

井上玄桐とは

光圀公の最も近くにいた男。
儒医にして代筆者、そして最後の記録者。

井上玄桐(いのうえ げんとう、? ~ 元禄15年/1702年)は、京都出身の医師・儒者。号は挹翠(ゆうすい)。名医・曲直瀬正盛(まなせ しょうせい)に師事して医学を修め、天和2年(1684年)に水戸藩主・徳川光圀の侍医として召し抱えられました。

医術にとどまらず学識にも優れ、光圀公の筆跡に酷似した書を持つことから代筆も務めるなど、公の日常を最も間近で見つめた人物のひとりです。

元禄13年(1700年)、光圀公の逝去を機に京都へ帰郷。その後、水戸藩の儒学者・安積澹泊(あさか たんぱく/「格さん」のモデル)に宛てて、記憶にある限りのエピソードを書き送りました。これが本書『玄桐筆記』です。

翌元禄15年(1702年)、玄桐も没。しかし彼が遺した記録は、三百年以上の時を経て光圀公の生身の姿を今に伝え続けています。

天和2年(1684年)

光圀公の侍医として水戸藩に仕官

元禄7年(1694年)

藤井紋太夫刺殺事件を間近で目撃

元禄13年(1700年)

光圀公逝去、京都へ帰郷

元禄14年(1701年)

安積澹泊に宛て『玄桐筆記』を著す

元禄15年(1702年)

京都にて没

光圀公の実像

側近医師だけが知る、黄門様の素顔。

武の人

幼少より弓馬を鍛え、屋根の上を疾走し、断崖を駆け下りる。怪力無双にして、鉄の火箸を素手で撚じ曲げたという。

知の人

十七歳で『史記』に開眼。朱舜水に師事して真の「経世済民」を学び、池の水量を幾何学で測る合理精神の持ち主。

情の人

身分を問わず善行を称え、若き日の過ちに生涯悔い続けた。「罪を憎んで人を憎まず」を実践した名君の姿。

苦悩の人

自ら手を汚した過去に苦しみ、冷徹な断罪を下しながらも人の痛みを忘れなかった。英雄の光と影をありのままに記す。

収録内容

光圀公の生涯を六つの章で辿る。

第一章

伝説の幕開け

誕生から少年時代

身分を隠して育てられた幼少期。老僧に見抜かれた「殿の器」、六歳にして見せた胆力と矜持。

第二章

強靭なる肉体と武士の鍛錬

超人的な身体能力

屋根を走り、崖を駆け下り、猪と格闘する。常人離れした武芸と、それを支える不屈の精神。

第三章

人生の転換点

17歳・知性と自省の目覚め

『史記』との出会い、学問への熱狂、そして一生消えない悔恨——若き日の光と影。

第四章

お忍びの真意と正義

微行の記録

変装して城下に潜む真の目的。喧嘩仲裁、暗殺者との対峙、火事場への潜入——行動する藩主の姿。

第五章

智勇兼備の政治

全盛期のリーダーシップ

朱舜水への師事、職人体験、資源の節約と未来への投資——合理的で先進的な統治の全貌。

第六章

西山の名君

隠居生活と断罪、そして最期

完璧なる礼儀、冷徹な裁き、そして来年を期待しない潔さ。英雄の安らかな眠りと残された志。

偕楽園の白梅

偕楽園の白梅 ── 光圀公が愛でた早春の風景

偕楽園の紅梅

常に御側に仕えて居た儒医にしか知り得ない
生身の黄門さまが目の前に現れたようで、
甚く感動した事を今でもはっきりと覚えています。

——豊田洋一「あとがき」より

著者

現代語訳

豊田洋一(とよだ よういち)

郷土史家 / 豊田設計有限会社

昭和55年、建築士会有志による「西山荘調査報告書」の発刊を機に、旧・財団法人水府明徳会(現・徳川ミュージアム)との協議の中で『義公行実』『桃源遺事』『玄桐筆記』と出会う。以来46年にわたり光圀公の実像を追い続け、令和10年の生誕四百年を前に本書の現代語訳を完成させた。

書籍情報

井上玄桐筆記 現代語訳

非売品
書名
井上玄桐筆記 現代語訳
現代語訳
豊田洋一
編集・装丁
高木真矢子
発行
令和8年(2026年)6月10日
頒布形態
非売品(水戸市内の教育機関・図書館に寄贈)
寄贈先
水戸市内 教育機関・図書館

※ 本書は非売品です。お近くの図書館でお手に取りください。

弘道館の紅梅

弘道館の紅梅 ── 光圀公が創設を構想した藩校の地

関連史跡

光圀公と井上玄桐ゆかりの地を巡る。

西山荘

光圀公が晩年を過ごした隠居所。玄桐も侍医として仕えた地。

茨城県常陸太田市新宿町590

笠原水源

光圀公が寛文2年に整備を命じた上水道。日本で18番目に古い水道施設。

茨城県水戸市笠原町

笠原不動尊

笠原水源の守護として祀られた倶利伽羅不動。水源地の信仰の歴史を伝える。

茨城県水戸市笠原町994

徳川ミュージアム

水戸徳川家の歴史資料を所蔵・展示。本書の監修にも協力。

茨城県水戸市見川1-1215-1

水戸城跡

水戸藩の居城跡。光圀公が幼少期を過ごした柵町もこの周辺に位置する。

茨城県水戸市三の丸

茨城県立歴史館

『玄桐筆記』原文をはじめ水戸藩関連の貴重資料を所蔵。

茨城県水戸市緑町2-1-15

関連史跡マップ

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